スペインのセビリアで闘牛観戦をしてきました。
これからセビリアへ行く人や、闘牛観戦を予定している人のためも兼ねた旅行記です。
なお、情報は現地時間で2017年5月1日月曜日の出来事に基づいています。
スペイン旅行に興味のある方はこちらもどうぞ。
チケットの予約
観光案内所で闘牛観戦の予約
闘牛を観戦するなら予約するのが無難でしょう。
いろいろと手段はあるはずですが、観光案内所で予約するのがお手軽です。
観光案内所はカテドラルのある町の中心に多くあり、ほかに鉄道駅やバスターミナルも含めて、8か所あります。
セビリアの観光案内所は結構使いやすい印象です。
当初は闘牛観戦の予定がなく、地図をもらいに行っただけだったのですが、その場で闘牛観戦やフラメンコ鑑賞についても案内してもらえました。
セビリアでノープランならとりあえず観光案内所に行くというのもいいと思います。
ちなみに、地図は無料ではなく、1ユーロでの販売品でした。
地図は英語と中国語併記です。
アジア人なので中国人と間違えられたのかと思いましたが、英語と中国語の併記が標準のようです。
中国人は世界中の観光地でマジョリティーになりつつありますね。
闘牛の開催日と開催時間
闘牛の開催について、こんな事前情報を得ていました。
- 開催時期は3月中旬から10月中旬まで
- 開催日は日曜日
- バルセロナのあるカタルーニャ州では闘牛は廃止された
セビリアにいたのが月曜日だったので、当初は闘牛を予定に入れていなかったのです。
しかしちょうど5月1日のメーデーで祝日だったので、試しに観光案内所に行ってみたところ、その日は開催していました。
翌日5月2日火曜日は祝日でもない普通の平日なのですが、その日も開催予定があったので、実際のところ日曜以外に開催されることも割とあるようです。
開始時間は18時30分で、この日でいえば日没3時間ほど前にあたり、意外と早い時間でした。
夏のスペインの時間間隔
脱線しますが、5月のスペインでは、日没は夜9時を過ぎます。
これにはいくつか理由があります。
- 緯度が高いので夏に近づくと日がとても長くなる。
- ドイツあたりの経度に合わせた中央ヨーロッパタイムゾーンに所属している。
- サマータイムで時計を1時間進めている。
そんなわけで、太陽の動きに対して、時計が2時間ほどすすんでいる感覚です。
朝は7時ごろに夜が明け、昼2時頃に太陽が一番高くなり、日没が夜9時過ぎ。
夜遅い時間まで外が明るいので、時間間隔は狂いますが、観光はとてもしやすいです。
さらに脱線しますが、スペインはイギリスとほぼ同じ経度上にあります。
イギリスの南にフランスがあって、その西にスペインという形でイメージしていたので、地図で眺めた時に個人的にはちょっと意外でした。
イギリスはサマータイムはあるものの基本的には自国の地理に合わせたタイムゾーンに所属しています。
一方でスペインはイギリスとほぼ同じ経度にありながら、ヨーロッパの多くで使われている中央ヨーロッパタイムゾーンに所属しています。
やたらに他国に合わせないイギリスには、かつて世界の覇権をとったプライドのようなものを感じつつ、空気読めよなんて思ったり。
かといって他国に合わせたスペインの方は、タイムゾーンに無理があるような気がしないでもない。
所属しているタイムゾーンから国の個性がちょっと見えるという話でした。
闘牛観戦予約の締め切り時間
今回、闘牛観戦を思い立ったのは本当に直前のことでした。
闘牛開始時間も分からないまま、観光案内所に行ったところ、すでに開始の15分前になっていて、予約は締め切られていました。
闘牛を見るならば計画的に動きましょう。
チケットの当日購入
予約なしでの闘牛観戦
予約が締め切られていたことを知った私は、闘牛場の現地でチケットを購入することにしました。
現地でどうすれば買えるかもわからないまま、とりあえず突撃であります。
自分としては珍しい謎の行動力を発揮しましたが、そもそももっと計画的に動けよという話です。
とりあえず闘牛場へ
チケット購入のため、とりあえず闘牛場へ向かいます。
救済病院の裏の観光案内所から地図も見ずに人通りのある方向に歩いてみたら、奇跡的に迷わず闘牛場に辿り着きました。
着いたのは東側。
闘牛場に入っていく人の流れはあるものの、ここでチケットは売っていないようです。
そこからチケット売り場を探して、闘牛場の外壁に沿って左に回っていきます。
チケット売り場探し
係員のいるゲートに辿り着いたので、チケット売り場の場所を英語で聞いてみました。
するとまさかの英語が通じない問題発生。
ヨーロッパでありながら英語が通じないなんて、スペインは恐ろしい場所です。
(日本のことは棚に上げます。)
(スペイン語勉強してからスペインに行けという考えも棚に上げます。)
こっちもスペイン語は分からないのですが、チケット売り場に辿り着けなければどうしようもありません。
「チケット」という単語と、右か左か指さしで尋ねて、チケット売り場の方向だけは分かりました。
さらに闘牛場外壁にそって進みます。
そんなことを繰り返しながら闘牛場を半周以上し、ようやくチケット売り場に辿り着きました。
闘牛場の南西側、クリストバル・コロン通りに面した側にチケット売り場はあります。
チケット売り場
チケット売り場付近は、闘牛場の正面入り口に相当するのか、テレビのインタビューらしきものも行われていて、にぎやかでお祭り気分があって楽しいです。
それを横目に、急いでチケット売り場に突入。
チケット売り場は激混みな上に、列がカオスです。
窓口は8-10個ほどありました。2つの窓口ごとに鉄柵で仕切られた3つのレーンがあります。
本来の用途としてはおそらく、購入用の列として外側2レーンと、購入した人が外にでるための内側1レーンという構成なのでしょう。
ですが実際には、列を整理する係員もおらず、退場用のレーンにも人が群がっています。
1つの窓口に対し列が2つ存在することになるので、放っておくといつまでもチケットが買えません。
なんとなく譲り合って交互に進むようなムードもありますが、抜かされそうになった時には、突っ込んでいって主張する覚悟もいるかもしれません。
チケット購入
闘牛はスペインの国技です。
観光資源として力を入れているのかと思いきや、意外とチケット売り場でも英語が通じません。
唯一、「ソンブレ」(日影席)というスペイン語を発して、後は英語と身振り手振り、予約画面の指さしでコミュニケーションをとりました。
こんなので意外とチケット購入できてしまうのも海外旅行の楽しいところです。
日なた席の方が安いのですが、スペインは5月でも日差しが強く、帽子も持っていなくて、熱中症なんかの恐れがあったので日影にしました。
日影席のかなり外側で75ユーロなり。日本円でいうと9000円くらいでした。
実際に買ったチケットがこちら。
闘牛場へ入場
チケットには入場用のゲート番号やら、席番号やらいろいろと記載されています。
その場で読み解けた範囲では、上段右のPUERTAというのが、ゲート番号を示している模様。
スペイン語が使えなくても、適当なゲートでチケットを見せれば、方向を指で示してくれるのでなんとかなります。
座席番号も実際どこなのかわかりませんでしたが、係員の人にチケットを見せたところ案内してもらえました。
自分の席にはちょうど他の人が間違って座っていたので、ついでにその人をどかしてもらえて大助かりです。
闘牛観戦
なんとか闘牛場に辿り着き、チケットも買えて、席にも辿り着けて、いよいよ闘牛観戦開始です。
闘牛場内はこんな感じ。
かなり広い闘牛場が満員で盛り上がっています。
柱が邪魔なのは、外側の高い所にある席だから仕方ないですね。
日影席は涼しくて快適でした。
観戦して気づきましたが、闘牛士への掛け声は日なた席の方から発せられている気がします。
野球でいうところの外野席にあたる、熱心なファンの多い席なのでしょうか。
写真の中で時計は7時を示していますが、朝の7時というわけでなく、時計が狂っているわけでもありません。
5月のスペインの午後7時はこんなに明るいのです。
闘牛開始
時間になっても特にアナウンスはありませんでした。
始まる頃に自然に場内が静まって、気づいたら闘牛が始まっているというような感じです。
闘牛は6試合あります。
3チームが2回ずつの演技という構成で、1回が20-30分程度で、全部で2時間30分ほどかかります。
闘牛のイメージというと、牛と闘牛士の1対1をイメージするのですが、そんなことはありませんでした。
それぞれの役割を持った人たちが交代で出てきて牛を弱らせてとどめを刺します。
助手の出番
まず最初は助手の出番です。
黄色とピンクの布に向かった突進を繰り返させます。
この間に、最後に登場するマタドール(闘牛士)が牛のスピードや癖を見抜くのだとか。
登場したてで牛も元気で、ひらりひらりと突進をかわす様子は、イメージしていた闘牛に一番近いです。
ピカドールの出番
次に馬に乗って槍をもったピカドール(槍方)が登場します。
銅板のようなものを装備した馬にまたがり、馬上から槍で牛を突いて弱らせる役割です。
実は闘牛士以上に危険なように見えます。
なにしろまだ牛も元気ですし、馬上だと安定しないですし。
さらにいえば、馬の銅板がぱっと見、段ボールガンダムとかを彷彿とさせるようなチープな作りで、角が貫通しちゃうんじゃないかとか、馬がひっくり返るんじゃないかとか、初見だとひやひやします。
ちなみに馬の左側はこんな風にがら空きです。
パンデリーリョの出番
次にパンデリーリョ(銛旗士)が登場します。
突進してくる牛をかわしながら、2本の短い銛を3回、計6本を牛の背中に打つ役割です。
両手に銛を持つ都合上、牛の気をそらすためのマントが無いので、この役割もなかなか危険だと思います。
牛の突進をかわした後、その方向を制御するために、黄色とピンクの布を持った助手が再び待機します。
牛がパンデリーリョの方に向かわず、最初から助手の方に向かってしまうハプニングもしばしば。
マタドールの出番
最後にいよいよマタドールが登場します。
これが本当の意味で闘牛士というものです。
赤い布と剣を持って登場し、牛にとどめを刺す役割です。
もうすでに牛は弱っていて、突進にスピードも距離も無く、イメージしているような迫力は感じられません。
猛スピードで直線的に突っ込んでくる牛をひらりひらりとかわす姿をイメージしていたのですが、実際には瀕死の牛が1-2メートルほど突進し、赤い布を追ってマタドールの周りをぐるぐる回ります。
とどめを刺す瞬間が一番の見せ場ですが、しっかりと急所に刺さらないと牛が吐血してしまいます。
これは美学に反するとのことで、実際に吐血の現場を見てみると、確かに見せ物として美しくありませんでした。
とどめを刺された牛はその場で倒れます。
その後、助手がつついて死亡確認をした後、馬に引きずられて出ていきます。
さながら市中引き回しのイメージです。
結構残酷なシーンなので、写真のアップは自重。
まとめ
普段イメージしている闘牛と、実際に生で見る闘牛は、結構違っていたのが驚きでした。
バルセロナのあるカタルーニャ州では闘牛が禁止されています。
確かに闘牛を実際みたら、動物愛護団体でなくても禁止したくなるかもしれない残酷な部分があります。
いつか見られなくなるかもしれないので、行くなら早い方がいいでしょう。
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